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瀬戸内寂聴

もし、人より素晴らしい世界を見よう、そこにある宝にめぐり逢おうとするなら、どうしたって危険な道、恐い道を歩かねばなりません。そういう道を求めて歩くのが、才能に賭ける人の心構えなのです。

理解できないと投げ出す前に、理解しようと相手と同じレベルに立って感じることを心がけましょう。

お返しを期待しない、感謝の言葉も求めない。それが本当の奉仕です。

幸福になるためには、人から愛されるのが、いちばんの近道です。

人間は生まれる場所や立場は違っても、一様に土にかえるか海に消えます。なんと平等なことでしょう。

自分を愛してもらいたいから、相手を愛する、それが渇愛です。自分を忘れて他人に尽くす仏さまの慈悲とは正反対ということです。慈悲はお返しを求めません。

生かされているのですから素直に有り難いと思いましょう。生きている値打があるから生かされているのですもの。

人間は生まれた時から一人で生まれ、死ぬ時も一人で死んでゆきます。孤独は人間の本性なのです。だからこそ、人は他の人を求め、愛し、肌であたため合いたいのです。

美しいもの、けなげなもの、可愛いもの、または真に強い勇ましいものに感動して、思わず感情がこみあげて、涙があふれるというのは若さの証しです。ものに感動しないのが年をとったということでしょう。